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台詞

何もかもが嘘だ、偽りだ

俺がしゃべっているのは台詞であって、本当に自分がそう思って言っていることなんてありはしない

無理矢理言わされ、効果ばかりを考えているから、全く効果なんてない

俺は、ヒロインを愛し続ける健気なヒーローでは決してない

演技をするつもりなんて本当は全くないのだ

キャラクターを演じるのはまっぴらごめん

なんだか疲れてきた

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ブラウス

車の助手席に乗った彼女がカーディガンを脱いだ瞬間

その下のブラウスの白さに

今年最初の春を感じる

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花火

今、自分は彼女を送るために車を運転している

道の脇に、一人、遠くに打ち上げられている花火を眺めるおばあさんを見た

両手を後ろに回し、少しだけ顔を上げ、空を見つめていた

きっと、そのきれいな花火を楽しんでいるに違いない

ただ、そのきれいな花火を、その楽しみを、一体誰に伝えることができるのだろう

一瞬の輝きの後で、暗黒の夜の空に消えていく花火の輝きを・・・

花火そのものの美しさではなく、それをイベントとして利用した効果ばかりを考えている、功利的な考えしかできない俺にとって、その光景は心に痛すぎた

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気持ち

「好き」という気持ちを作り上げるのは、相手の性格、価値観、ルックス、二人の過程、環境などがあると思う もちろん、人によって重要なもの、それほどでもないものがあると思うけど

条件がすべて叶うなら最高だけど、現実はそうもいかない 確かに、条件のうちのどれかが全く欠けてしまっていては、好きになることはないだろう

しかし、性格の一部分、価値観の一部分、ルックスの一部分・・・が欠けているからといって、自分の正直な気持ちを踏みにじろうとするのは愚かだ

人にははっきりと意識できることとできないことがある しかし、はっきり意識できることが大切とは限らない いろいろな要素が合わさって、はじめて気持ちができる 人間には計り知れないし気づくこともできないことがある

直面する目に見えることだけで判断してはいけない 過程などにおいては、特に不満を満足に変えたいと思うだろう しかし、相手ができる限りのことをしているのなら、不満と思うべきではない

結局、大切なのは、100%になることがない条件ではなく、120%になり得るその気持ちなのだから

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女医

女医が言った

「あなた万年鬱じゃないの?」

名医だ

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すべてがスローなテンポで流れていく

車窓の景色も、そして、その中にいる人たちも

駅に向かって走っている人ですら、それに飲み込まれてしまう

かげろう、口紅のCM、東風・・・

確かに俺にも春が来た

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そして

一秒間に映し出される彼女に彩られた世界は、それまで何もなかったかのように、すさんだ心を包み込んでしまう

そして、そのとき俺が見たものは・・・

ワンフレーズから広がっていく言葉たちの世界は、疲れ切った自分に、ほのかな夢と希望を与えてくれる

そして、最後に俺のとった手段は・・・

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幼なじみ

いつの間にこんなに大きくなったのだろう

ついこの前までは雑草がすぐ身近だったのに 見る人すべて大人ばかりだったのに

いつの間にこんなにきれいになったのだろう

髪も短く男の子みたいだったのに 一緒にはしゃぎ回っていたのに

周りの人には、「幼なじみだよ」って言っときゃいいかな

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旅人

俺は、この世に生きた証を残そうと

最期に砂漠の砂をかきむしる

瀕死状態の旅人だ

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兆し

理知的な壁 虚像 束の間の安らぎ・・・

「兆し」

今、天から一筋の光が降ってきた

手にしたい 永遠と、そして決して影など作らない光を