同じ形、同じ大きさ、同じ色の扉が、数えるには面倒なくらい並んでいる
躊躇する しかし、どれかを選び、開け、あちらにいかなければならない
とはいえ、選ぶには情報が不十分すぎる 皆同じなのだから
背中を押してほしい 誰かに いっそのこと、はずみで向こうへ行ってしまいたい
選択の余地、時間は、まだ少しある
ただ、考えることをやめた おれは一つの扉を選んだ
そして、開け、入った
運の悪さに今更嘆く
魔物たちが、手ぐすねを引いて待っていた
「よく来たな」 眼だけ光る影が言う
「お前は何が不満なんだ」 濃い緑のどくろが尋ねる
俺は、必死に「すみません、間違えました」と訴える
しかし、時はすでに遅い
しかも、理想と程遠い現実に怒りをもつ俺が、この扉を選んだのは必然だったのだ